高い声を出したい!声域と高い声について言語聴覚士が解説します!

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「高い声を出したい!」という方は多いのではないでしょうか。例えばカラオケや合唱で高い声で気持ちよく歌いたい、声域を広げたい、また、高い声で話したいという女性からのご相談もよくお受けします。今回は、高音や声域について解説したいと思います。

声域とは?

声域とは、「出し得る最低音から最高音までの周波数域」と定義されています(声の検査法;日本音声言語医学会編より)。話し声の高さからわかるように、声の高さは男女で異なるため、声域も異なります。平均的な声域は、男性では約3オクターブ、女性では約2.5オクターブとされています。す。ただし、個人差がありますので、これより多少声域幅が狭かったり、高音・低音が出にくかったりしても、心配する必要はありません。また、会話や日常生活(歌など趣味も含めて)で困るくらいに声域が狭くなっているのかも一つのポイントになるでしょう。

声域のチェックは、ピアノなどで音を鳴らしながら、「あ」の発音でどの高さまで発声できるか出してみることで、簡単にできます。興味のある方は一度試してみてください。

高い音ってどうやって出すの?

 声は、のど(喉頭)にある「声帯」という2本の小さな帯が振動することで出ています。この時、無意識に私たちは高さに応じて適切に声帯を前後に引き伸ばしたり、緩めたりして声帯の張り具合を調節しています。また、この時に2本の声帯が中央でしっかりと閉じあって振動していること(声門閉鎖)が、きれいな声を出すためのポイントにもなります。

高い声が出にくい!考えられる原因

発声法の問題

声帯の形や動きに問題がない場合、発声法の問題であることが考えられます。この場合は、ボイストレーニングなどで何度も練習すれば次第に出せるようになるはずです。発声練習は適切な方法で、適切な量を行わなければ効果は出にくいでしょう。気を付けるポイントをおさえて練習しましょう。

声帯の病気

いくら練習しても出したい声が出ない場合、声帯にできもの(声帯ポリープなど)がありそれが原因となっていたという場合もあります。また、声帯の運動に障害がある場合(声帯麻痺など)も同様に、自己流の練習だけでは改善しないことが多いでしょう。声帯は外からは見えない場所にあるため、内視鏡などで確認する必要があります。なかなか良くならない方は一度耳鼻咽喉科(音声外来)で声帯の形や動きをチェックしてもらいましょう。気が付かない間に声帯が腫れていたり、声帯ポリープ・声帯結節などの疾患が見つかったりするかもしれません。良い声のためには、疾患の適切な治療が不可欠ですので、気になる方は一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

声帯の病気についてもっと知りたい方はこちら

日常生活での注意点

 良い声のためには、日ごろから声帯のケアをしっかり意識することが重要です。あなたは声帯を大事にして過ごしていますか?基本的なケアについてご紹介しますので、参考になさってください。

 ☑ 禁煙

  喫煙は声帯の粘膜に炎症や浮腫を生じさせます。声帯が腫れても声帯に痛みを感じることはほとんどありませんので、気が付かない間に声帯粘膜がひどく炎症をきたしていたというケースも少なくありません。また、喉頭がんの原因となることもありますので、禁煙することが望ましいのは言うまでもありません。のどを守るために、禁煙し、副流煙についても注意しましょう。

 ☑ 空気の汚れを避ける

  塵埃や薬品など、吸い込むと声帯に悪影響を及ぼすような環境はできるだけ避けましょう。マスクの使用を徹底し、うがいや喚起を頻繁に行いましょう。

 ☑ 飲酒

  飲酒は声帯の充血・浮腫をきたすため、過剰な摂取は控えましょう。また飲酒に際して、声が大きくなったり、話す量が増えたりしますので、声の使い過ぎに気を付けましょう。

 ☑ 大声・音声酷使

   声をお仕事などで長時間使ったり(音声酷使)、大声を出したりすることは声帯粘膜に対して大きな負担となります。特に、学校教師、保育士、インストラクターの方など職業的に声の使用量が多い方は、声帯粘膜がだんだんとダメージを受け、声帯結節などが原因で声がかすれ、悪化していくケースをよく臨床上経験します。長時間のカラオケも禁物です。声の酷使はなるべく避け、ある程度声を出したら、その後はのどを安静にするよう心がけましょう。

 ☑ 水分補給

  良い声のためには、声帯がしっかりと振動することが必要ですが、声帯が乾燥すると、振動がしにくくなります。積極的に水分を摂取し、声帯が潤った状態で声を出すようにしましょう。

どうすれば高い声が出る?良い発声のしかた

発声練習は個人によって適切な方法が異なるので、答えは一つではありません。参考までに、主なチェックポイントを書きましたので、気になる方はご自身の発声をチェックしてみて下さい。

☑呼吸

よく「お腹から声を出す」という表現が使われますが、呼吸のしかたはとても大事です。肩や首に力が入りすぎているとうまくいきません。上半身はリラックスし、しっかりと息をはいて発声してみましょう。

☑のどの力

のどに力を入れすぎる方、力が入っていない方は発声しにくいことが多いです。のどの力が強くなってしまう方はのどのリラックスを意識、あまり力を入れていない方は少し強く意識してみると良いかもしれません。

☑音程

音程を合わせて発声するのが苦手という方もいらっしゃいます。この場合は、ご自身だけで歌ったり発声したりするのでなく、ピアノなどの音をよく聞いて合わせることが重要です。音の見本があると思ったよりも高い音が出やすくなるので、是非試してみてください。

※注意点

無理は禁物です。何度も無理をして沢山練習すると、声帯を傷める原因になるので、練習は長時間せずに、練習後はのどを休めるようにしましょう。

中には、発声練習やボイストレーニングを長くしているにも関わらず高音・低音が出ない方もいらっしゃいます。そんな時は、一度声帯を耳鼻咽喉科でチェックしてもらうとよいかもしれません。

補足:男女別で多い声の疾患

前述したように、声のかすれの原因としては、声の多用や酷使による声帯の炎症・浮腫がよくみられます。特に声帯結節は統計学的に若い女性に多いことがわかっています。保育士、幼稚園の先生、学校教師、インストラクターなど声を酷使する職業の方は、水分補給を積極的に行い、声を使った後しっかりとのどを休めるようにしましょう。

これに対して、男性は中年以降に声帯萎縮という状態が統計学的に多くあり、声がかすれたり、がらがらしたりする症状をきたします。声帯萎縮は、声帯結節などとは反対に、声を毎日しっかり使用することが予防策になります。声を日頃使うことの少ない方は、なるべく人と会話する機会を作ったり、発声練習を予防的に行うと良いとされています。

いかがでしょうか?毎日しっかりとのどのケアをし、あなたの望む声を手に入れましょう!


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