声の症状と原因・治し方 ーオンライン言語聴覚士の視点からー

声の症状

声の症状(声が出づらい)と一口にいっても様々な症状があります。ひとつひとつ見ていきましょう。

声のかすれ・つまり・声が出ない・出にくい場合の原因

声がかすれる、つまったような感じがする、声が出ない、出にくい場合、以下のような原因が考えられます。

  • 急性喉頭炎(声帯炎)

風邪や声の使い過ぎ、咳のしすぎなどによって喉頭(声帯)に炎症が起きている状態です。軽度であれば少し声がかすれる程度ですが、重度になると全く声が出ない場合もあります。

  • 声帯ポリープ

声帯にポリープができている状態です。声の乱用や偶発的にできたものなど様々です。声がかすれたり、ガラガラした声になる、低い声や高い声が出づらいなどの症状があります。

  • 声帯結節

長い時間話し続けたり、大声や歌声を出したりしていると、両側の声帯が過度にこすり合わされ、腫れた状態になります。だんだんと悪化し、声のかすれだけでなく高音がでない、裏声が出ないなどの症状も伴うことが多いです。学校の先生、保育士さんなど声を多用する職業の方によくみられる病気です。

  • ポリープ様声帯

声帯全体が腫れ、ポリープのように太くなっている状態を指します。主な原因は喫煙で、声をたくさん使う機会がある(音声酷使)とさらに悪化します。声のかすれ、声が低くなるといった症状があります。

  • 声帯萎縮

声帯が元の状態よりも細くボリュームダウンしてやせてしまった状態です。中高年の男性や、普段声を出す機会が少ない方によく見られます。声がかすれたり、声がやや高くなる、大きな声が出にくいなどの症状があります。

  • 喉頭がん

喉頭(声帯)にできたガンです。症状は声のかすれ、がらがらした声など他の病気と似ていますが、放置してしまうとガンが浸潤して広がっていくので、耳鼻咽喉科での受診と検査が必須です。

  • 反回神経麻痺(声帯麻痺)

片方または両方の声帯が麻痺して動かない(動きにくい)状態です。声がかすれる、大きな声が出ない、息がたくさん漏れるため話すと疲れるといった症状のほかに、飲食物を飲み込みづらい、むせてしまうなどの症状が現れることもあります。食道がん、甲状腺がん、肺がんなどの手術後に後遺症として反回神経麻痺をきたす場合も多くあります。

日常生活における悪習慣による原因

 日常生活の習慣で、声の健康に影響を与えるものも次のようにあります。

  • 音声酷使

声を長く使い続けると、両側の声帯が炎症を起こします。通常は1~2日休めば改善することが多いですが、休まずにまた話し続けたり歌い続けたりするとさらに悪化し、次第に休んでも改善しない状態にまで進行してしまいます。声に違和感が出てきたときは、声を出さずに喉を休めるということが重要です。

  • 喫煙

喫煙をすることで、熱い空気が気道を行き来します。声帯は気管の入り口に位置するので、喫煙によって声帯が炎症を起こします。喫煙習慣があると、気づかないうちに声帯を傷つけてしまうので、できれば禁煙が望ましいでしょう。

  • 咳・咳払い

咳や咳払いをすると、左右の声帯が強くこすり合わされます。その際、物理的に声帯粘膜がダメージを受け、声帯が腫れたり内出血を起こしたりする可能性もあります。風邪など咳が出る際には、声のためにも早めに治療することがお勧めです。のどの違和感などで咳ばらいをついついしてしまう方も、なるべく咳払いをしないように気を付けましょう。

  • 食習慣

胃など消化器の調子が悪い方で、逆流性食道炎があると声がれやのどの違和感の症状が出てきます。日ごろから胃に負担のかかる食べ物を控えめにし、健康的な食習慣を心がけることが声の健康にも重要です。

ストレスなど心理的な原因

ストレスや心の状態も、声の状態に強くかかわる場合があります。

  • ストレスや悲しい/つらい出来事

ストレスには自分が自覚しているストレスと、そうでないストレスがあります。すぐに取り除けるストレスもありますが、今自分の置かれている環境(職場など)を離れるなどの対策が必要な場合もあります。自分の心の状態を冷静に見直してみましょう。

声の治療に必要な検査

声の治療のためには検査を受け、正しく病気を診断してもらうことが必要です。声帯の状態だけでなく、声がどんな声になっていてどの高さが出しにくいのかなど、声の検査(音声検査)で明らかにすることが必要です。

  • 内視鏡検査

声帯は喉仏のちょうど真裏に位置しており、自分で直接見ることはできません。耳鼻咽喉科医に内視鏡で声帯の状態を診てもらうことをお勧めします。内視鏡だけでなく、特殊な光を当てて声帯振動を診てもらえる機関もあります。声帯は小さな器官ですので、細かく診てもらえる機関を受診することをお勧めします。当相談室では、声の状態や症状の現れた経緯などお聞きし、適切な医療機関へご紹介することも可能です。是非一度ご相談ください。

  • 音声検査

音声検査は、声の大きさ・高さ・声質・持続など様々な角度から声を分析する検査です。様々な声を実際に出していただきそれらを録音・分析することで目には見えない声を定量化(数値化)できます。その結果は、自分の声が正常範囲なのかまたは問題がある状態であるのかを判定するのに役立てることができます。通常、音声検査は言語聴覚士が行うのですが、音声検査を行える言語聴覚士は日本全国にそう多くはないのが現状です。当相談室では、音声検査をしっかり行い、検査結果を患者様にお伝えするだけでなく、おかかりの機関の主治医とも検査結果を共有することも可能です。声の状態を正しく把握するために、一度音声検査を受けてみることをお勧めしています。

声の治し方

声の治し方は、症状によって以下のものに分かれます。または、いくつかを組み合わせて治療を進めていきます。

  • 内服治療

抗炎症剤など、お薬を処方してもらって治す方法です。

  • 外科的治療

手術や声帯への注射など外科的に治療する方法です。

  • リハビリテーション

言語聴覚士とマンツーマンで行うリハビリテーションです。リハビリテーションの内容は、発声法を練習して声の状態をより良くすること、日常生活での声のケアを指導しより発声しやすい声帯の状態に整えることなどです。言語聴覚士は日本全国に現在2万人ほど有資格者がいますが、医療機関に必ずしも在籍しているわけではないのが現状で、さらに声を専門にしている言語聴覚士はごく限られた人数しかいません。当相談室では、声を専門に治療経験のある言語聴覚士が担当させていただきますので、安心してリハビリテーションを受けていただけます。お困りの方は、是非一度ご相談ください。

最後に…

声が良くなると気持ちが元気になり、自信が持てるようになります。人にも声を褒められたり、コミュニケーションも積極的になり、活動の場が広がるきっかけにもなっていきます。実際に声が良くなった患者様からは、生活が明るくなったとの声が多く、治療して良かったと喜ばれています。

是非、気になる方は症状をそのままにせず、一緒に治していきましょう!

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