【専門家監修】子どもの構音障害とは?原因・チェックリストと家庭でできる練習法

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「うちの子、もうすぐ4歳なのに発音がはっきりしない…」「『さかな』を『たかな』と言ってしまうのはいつまで続くの?」と不安を感じていませんか?子どもが言葉を覚える過程で、発音がたどたどしいのは珍しいことではありません。しかし、なかには「構音障害(こうおんしょうがい)」という、専門的なサポートが必要なケースもあります。この記事では、構音障害の原因から年齢別の目安、家庭でできる遊びまで、親御さんが今知っておきたい情報を分かりやすく解説します。


子どもの「構音障害」とは?ただの「赤ちゃん言葉」との違い

構音障害の定義:正しく発音できない状態

「構音(こうおん)」とは、舌や唇、喉などを使い、声の通り道の形を変えて「音」を作るプロセスを指します。構音障害とは、一般的にその音を獲得しているはずの年齢になっても、特定の音が正しく発音できず、習慣的に誤った音になってしまう状態です。単なる「言い間違い」との大きな違いは、その誤りに一貫性があることです。例えば、何度言っても「さ」が必ず「た」になるなど、本人なりに固定化された癖のようになっている場合、構音障害の可能性を考えます。

「機能性構音障害」と「器質性構音障害」の違い

構音障害は大きく2つに分けられます。「機能性」は、発音に関わる器官(舌や唇など)の形には異常がないものの、その動かし方や使い方のコツが掴めていない状態です。子どもの構音障害の多くはこのタイプに含まれます。一方「器質性」は、生まれつきの口唇口蓋裂や歯並びの異常、舌小帯(舌の裏の筋)が短いなど、発音するための「道具(器官)」自体に物理的な原因がある状態を指します。どちらのタイプかによって、手術が必要か、あるいは訓練が中心になるかといった支援方針が大きく変わります。

発音の未熟さ(音の置き換え・省略)が起こる仕組み

子どもが正しい音を出せない時、脳内ではいくつかのパターンが起きています。代表的なのが「置き換え(置換)」で、出しにくい音を似た別の音に変えてしまう現象です(例:ラッパ→ダッパ)。また、特定の音を抜かしてしまう「省略(脱落)」(例:いちご→いご)や、日本語にはない独特な音になる「歪み」もあります。これらは、まだ舌の筋肉が十分に発達していなかったり、正しい音を聴き取る力が未熟だったりすることで起こります。成長に伴う自然な過程であることも多いですが、特定の音だけが改善しない場合は注意が必要です。


【年齢別】子どもの発音発達の目安とチェックリスト

2歳〜3歳:サ行・ラ行が言えなくても大丈夫?

この時期は、まだ多くの音が未完成です。2歳頃は「バ・パ・マ行」などの唇を使う音から始まり、3歳頃にかけて「タ・ナ・カ行」などが言えるようになります。一方で、「サ行(摩擦音)」や「ラ行(弾き音)」は非常に高度な舌の動きを必要とするため、この年齢で「せんせい」を「てんてい」、「りんご」を「いんご」と言ってしまうのは発達の範囲内と言えます。まずは「何を言っているか」という内容を理解し、おしゃべりを楽しむことを優先しましょう。

4歳〜5歳:多くの子がはっきりと話せるようになる時期

4歳~5歳代後半までには、サ行やラ行を含めたほとんどの音が完成に近づきます。会話の明瞭度がぐんと上がり、家族以外の人にも内容がほぼ100%伝わるようになるのが一般的な目安です。この時期になっても、カ行がタ行(カラス→タラス)になるといった「置換」が目立つ場合は、発音の癖が定着している可能性があります。5歳前後になると自分の発音と周りの違いに気づき始めるため、特にサ行などがうまく発音できずに専門機関への相談を検討する一つの節目となります。

注意が必要なサイン(「おさかな」が「おたかな」になる等)

チェックすべきは「誤りのパターン」と「明瞭度」です。「さかな」を「たかな」と言う、カ行が全てタ行になるなどの決まったパターンが4歳以降も続いているか確認してください。また、「鼻から空気が抜けるような音が混じる」「常にこもったような話し方をする」といった場合は、発音の器官に何らかの課題があるかもしれません。誤りのパターンは聞き取りに慣れている専門家に判定してもらうと安心です。最も大切なサインは、子どもが「伝わらないこと」を気にして話すのをためらったり、イライラしたりしていないかどうかです。


子どもの構音障害が起こる主な原因

舌や口の周りの筋力・使い方の未発達

機能性構音障害の多くは、舌や唇の筋力が弱い、あるいは「どこに舌を当てればその音が出るか」という感覚がうまく掴めていないことが原因です。これを「構音運動の未熟さ」と呼びます。例えば、ストローで吸う、食べ物をよく噛んで飲み込むといった日常の動作と発音は密接に関係しています。口周りの筋肉が柔らかすぎたり、舌を細かく動かすコントロール力が不足していたりすると、特定の音が不明瞭になりやすく、指導によって「使い方のコツ」を学習する必要があります。

耳の聞こえ(難聴)が影響しているケース

正しく発音するためには、まず「正しい音」を正確に聴き取ることが不可欠です。軽度の難聴や、中耳炎を繰り返していることで一時的に聞こえが悪くなっていると、手本となる音を正しくキャッチできず、結果として自分の出す音も歪んでしまいます。特に「サ」や「ス」などの高い周波数の音は、わずかな聴力低下でも聞き取りにくくなることがあります。発音だけを練習しても改善しない場合、まずは耳鼻咽喉科で聴力に問題がないかを確認することが非常に重要です。

親や周りの話し方の影響

発音には、歯並びや上あごの形(口蓋)も大きく関わります。例えば、前歯が大きく開いている「開咬」の状態では、隙間から空気が漏れてサ行が言いにくくなることがあります。また、生まれつき口蓋に裂がある「口蓋裂」の場合、口の中の圧力がうまく高められず、鼻に声が抜けるような話し方になるのが特徴です。こうした身体的な構造に原因がある場合は、言語訓練だけでなく、歯科矯正や外科的な手術を組み合わせて改善を目指すことになります。


放置しても大丈夫?改善に向けた適切な相談時期

小学校入学前に改善しておくべき理由

構音障害の多くは、5歳から6歳の就学前後に改善を目指すのが理想的です。小学校に入ると、国語の時間に「ひらがな」の学習が始まります。この時、自分の発音が誤っていると、「書くこと」にも影響が出ることがあります(例:『さかな』と書きたいのに自分の発音の『たかな』と書いてしまう)。また、お友達とのコミュニケーションがより複雑になる時期であるため、自分の言葉が伝わらないことが自信の喪失や消極的な態度に繋がるのを防ぐ狙いもあります。

言葉の遅れやコミュニケーションへの影響

「発音」の問題と「言葉の理解・語彙力」の問題は別物ですが、併発しているケースもあります。単に音の作り方が苦手なだけなら、適切な訓練ですぐに改善しますが、背景に言葉の発達そのものの遅れがある場合は、総合的な発達支援が必要です。発音の不明瞭さが原因で、お友達とのやり取りに自信を失い、自分の気持ちを伝えるのを諦めてしまうことは避けたい事態です。本人がコミュニケーションに困り感を持っているなら、年齢に関わらず早めに専門家の意見を聞きましょう。


どこに相談すればいい?専門機関の探し方

言語聴覚士(ST)による「ことばの相談」

ことばの専門家である「言語聴覚士(ST)」への相談が最も確実です。STは、子どもの口の動きや聞き取りの力を評価し、遊びを通して楽しく発音の練習をサポートしてくれます。STは病院だけでなく、地域の療育センターや民間の療育施設にも在籍しています。相談の際は「どの音が」「どのように」聞こえるかを伝えるとスムーズです。個別のアドバイスを受けることで、家庭での接し方も明確になり、親御さんの精神的な負担も軽減されます。

<初回レッスンのご予約は こちら

保健センター・療育センター・ことばの教室の活用法

最も身近な窓口は、自治体の「保健センター」で行われる1歳半・3歳児健診です。ここで不安を伝えると、専門の相談員や療育センターへと繋いでもらえます。また、地域の小学校に併設されている「ことばの教室(通級指導教室)」も強力な支援先です。就学前検診などのタイミングで相談することで、入学後から定期的に発音指導を受ける体制を整えることができます。自治体によって窓口が異なるため、まずは「お住まいの地域名+ことばの相談」で検索してみるのが良いでしょう。

病院(耳鼻咽喉科・小児科)を受診するタイミング

まず受診を検討すべきは「耳鼻咽喉科」です。前述の通り、聞こえの問題や喉・鼻の構造的な問題をクリアにしておく必要があるためです。また、発達全般について気になることがある場合は「小児科」や「小児神経科」が窓口となります。受診のタイミングは「親が何度聞いても理解できない言葉が多い」と感じた時や、4歳を過ぎても発音が著しく不明瞭な時です。紹介状が必要な大きな病院の場合もあるため、まずはお近くのかかりつけ医に相談してみましょう。


【家庭でできる】発音を促す遊びとトレーニング

楽しく口を動かす「お口の体操」

家庭では無理な発音練習ではなく、口周りの筋肉を育てる「遊び」を取り入れましょう。「あ・い・う・べ」と大きく口を動かす体操は、舌の可動域を広げ、鼻呼吸を促すのに効果的です。舌の運動練習は口腔筋機能療法も有効です。

<口腔筋機能療法はyoutube動画のこちらからチェックできます>

また、シャボン玉を吹く、ラッパを鳴らす、ストローでブクブク泡立てるなどの遊びは、吐く息をコントロールする力(呼気調節)を養います。こうした「お口の遊び」を通じて、発音に必要な土台となる筋力を楽しみながら鍛えていくことが改善の近道となります。

正しい音を聞かせる「リモデル(言い直し)」のコツ

子どもが間違った発音をした時に、「ダメでしょ、サよ!」と否定するのは逆効果です。おすすめなのは、正しい音をさりげなく聞かせる「リモデル(再呈示)」という手法です。子どもが「あ、たかなだ!」と言ったら、「そうだね、さかなだね」と、正しい発音を強調して返してあげてください。子どもは親の言葉を聴くことで、自分の音と正しい音の差を無意識に修正していきます。無理に言わせようとせず、良いモデルをたくさん聞かせる環境作りを心がけましょう。

注意点:無理に修正させると「話すのが嫌い」になることも

最も避けたいのは、何度も言い直しをさせて、おしゃべり自体を嫌いにさせてしまうことです。構音障害の練習は、子どもがある程度「自分の音を意識できる(聴き分けられる)」段階にならないと、いくら訓練しても効果が出にくいものです。家庭では「正しさ」よりも「伝えたい気持ち」を最優先にしてください。発音が多少違っても、内容を理解して「〇〇だったんだね」と受け止めてあげることで、コミュニケーションへの自信が育ち、専門的な訓練への意欲にも繋がります。


よくある質問(Q&A)

指しゃぶりは発音に影響しますか?

指しゃぶりが長期間(4〜5歳以降も)続くと、前歯が前へ押し出されたり、上下の歯の間に隙間ができたりする「歯列不正」の原因になることがあります。その結果、歯の間から空気が漏れやすくなり、サ行やタ行などの発音が不明瞭になるケースが見られます。無理にやめさせる必要はありませんが、発音が気になり、かつ指しゃぶりの頻度が高い場合は、小児歯科や言語聴覚士に相談し、お口の状態を確認してもらうと安心です。

トレーニングを始めればすぐに治りますか?

改善までの期間には個人差がありますが、一般的には数ヶ月から1年以上の継続的な関わりが必要になることが多いです。発音の練習は、単に「音を出す」だけでなく、その音を日常生活の会話で「自然に使える」ようになるまでの定着に時間がかかるためです。本人の発達段階や、週に何度練習できるかによっても異なりますが、焦りは禁物です。「今日はこの音が1回言えたね!」と、小さな変化を親子で喜びながら進めていくことが、結果としてスムーズな改善に繋がります。


まとめ:焦らずにお子さんのペースでサポートを

子どもの発音について悩むのは、それだけお子さんの成長を大切に思っている証拠です。「構音障害」という言葉を聞くと不安になりますが、適切な時期に専門的なサポートを受けることで、多くの場合は改善に向かいます。大切なのは、家庭だけで抱え込まず、言語聴覚士などの専門家を頼ることです。まずは日々のおしゃべりを楽しみながら、お子さんが「伝えられた!」という喜びを感じられるよう、温かく見守ってあげてください。

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